代替輸送ルートを「平時には見えないレジリエンス」として可視化する

物流networkを効率化するとき、通常時にほとんど使われていない経路は余剰に見えることがあります。しかし、主要routeが止まったとき、その余剰に見えた経路が代替routeとして機能する可能性があります。今回は、通常flowと障害時rerouteを同じnetworkへ重ね、平時の利用量だけでは見えにくい輸送レジリエンスを可視化しました。

この図は何を表しているのか

図中のnodeは輸送拠点、edgeは拠点間の輸送routeです。

灰色のedgeは通常時のflowを表し、太いほどbaseline flowが大きいrouteです。橙色のedgeは、主要route障害時にbaselineよりflowが増えた経路です。つまり、単に障害scenarioで使われたedgeをすべて強調するのではなく、障害によって新たに役割が増えた部分だけをaccentとして描いています。

橙色のdashは通常時にbaseline flowが0だったrouteです。さらに、そのrouteを取り除いたcounterfactualで障害時service scoreが下がる場合、弱いaccent haloを重ねています。

可視化から読み取れること

今回のSynthetic Dataでは、20 node、39 edge、46 OD relationからなるtransport networkを作りました。主要corridorのstandard edge 8本を、一度に1本ずつ停止させています。

Backup / bypass edgeは8本です。これらはすべて平時のbaseline flowが0になるようtravel timeを設定しました。一方、障害scenarioではそのうち5本が実際にrerouteとして活性化しました。

障害scenario平均では、backup edgeが全edge flowの1.9%を担いました。量としてはnetwork全体の一部ですが、平時にはまったく使われていなかったrouteが障害時に新しいflowを受け持っています。

Full networkの平均service scoreは0.949でした。すべてのbackup edgeを取り除いたcounterfactualでは0.932へ低下し、差は0.016、full network比では約1.7%でした。

この構造をどう解釈するか

今回のSynthetic networkには、通常時に選ばれやすい比較的速いprimary corridorと、travel timeがやや長いbackup / bypass routeを同時に埋め込んでいます。

平時はshortest pathがprimary corridorへ集中するため、backup edgeは利用されません。しかし、primary corridorの一部を停止するとshortest pathが再計算され、一部のOD demandがそれまで使われていなかったbypassへ移ります。

したがって、「平時にflowが0」という観察だけでは、そのrouteがnetworkにとって無価値とは言えません。今回のcounterfactualでは、backup edgeをまとめて除去した場合に障害時service scoreが低下することを確認しています。

可視化の仕組み

まず20 nodeを5列×4段のSynthetic geographyへ配置し、水平・垂直のstandard edgeを作りました。その上で、2列先を直接結ぶ長距離bypassを8本追加しています。

Backup edgeは、通常の2区間routeよりtravel timeが長いため平時のshortest pathには選ばれません。一方、途中のprimary edgeが停止すると、周囲を大きく迂回するよりbackup routeを使う方が短くなる場合があります。

46のOD relationへ輸送需要を与え、通常時と8つのsingle-edge failure scenarioについてshortest pathを再計算しました。Visualizationのaccent widthには、障害時平均flowからbaseline flowを引いたdisruption upliftを使用しています。

さらに各edgeを障害scenarioから追加で取り除き、service scoreがどれだけ低下するかをresilience contributionとして計算しました。

なぜこの可視化方法を選んだのか

今回見たいのは、通常時の主要routeと、障害時にだけ役割を持つalternative routeの関係です。

Resilience route bundle mapでは、通常flowをmonochromeとして残したまま、障害によって増加したflowだけをaccentとして同じgeographyへ重ねられます。そのため、平時には背景へ沈んでいる経路が障害時にどこで立ち上がるかを、network structureを保ったまま確認できます。

実データへの応用可能性

実データでは、道路・鉄道・航路network、物流拠点、通常時の輸送量、travel time、障害scenarioなどがあれば、同様の構造を探索できる可能性があります。

たとえば、平時の輸送量がほとんどない道路や航路について、主要route閉鎖時にどの程度reroute需要を受け持つかを調べることで、通常利用量とは異なるresilience valueを探索できます。

ただし、実際の代替輸送にはcapacity、混雑、輸送モード、運行制約、費用、復旧時間なども関係します。

データと分析方法

今回はSynthetic Dataを使用しています。node数は20、edge数は39、OD relation数は46、failure scenario数は8です。乱数シードは260926です。

通常時と障害時のrouteはtravel timeを重みとするshortest pathで計算しました。service scoreは、baselineからのdetour ratioを指数的にpenaltyし、OD demandで重み付けして集約しています。ODが切断された場合は0です。

resilience contributionは、障害scenarioにおいて各edgeを追加で取り除いた場合のservice score低下として計算しました。

このVisualization Studyの限界

今回のnetworkはSynthetic geographyであり、実際の道路網や物流networkを表しているわけではありません。

Routingはshortest pathだけで決まり、edge capacity、渋滞、運賃、車両制約、輸送モード、時間帯別混雑は扱っていません。またfailure scenarioもsingle-edge failureに限定しています。

さらにservice scoreの値は今回設定したdetour penaltyに依存します。したがって、0.016という差そのものを現実の効果量として解釈することはできません。

このStudyで確認したのは、平時未使用のbackup routeを持つDGPにおいて、それらが主要edge障害時に活性化し、取り除くとnetwork-wide service measureが低下する構造です。

まとめ

今回は、通常時には使われていない輸送routeが、主要route障害時にnetworkを支える構造をResilience route bundle mapとして可視化しました。

Synthetic Dataでは8本のbackup edgeすべてが平時未使用でしたが、障害scenarioでは5本が実際に活性化しました。また、backup edgeをすべて取り除くcounterfactualでは障害時service scoreが低下しました。

この見方は、実データでも「普段使われていないrouteを維持する意味」を平時の利用量だけで判断せず、障害時の代替性という別の軸から探索するための入口として利用できます。