新商品の販売データを見ると、発売直後に大きな需要ピークが現れることがあります。しかし、その後の動きは商品によって同じではありません。急速に落ち着く商品もあれば、緩やかに需要が残る商品、いったん減衰した後に再び需要が立ち上がる商品もあります。今回は、こうしたローンチ後の違いを一枚のwavefieldとして可視化しました。
この図は何を表しているのか
横方向は発売後の週数、縦方向は商品です。商品は需要パターンが近いものを近くに並べています。
背景の色は、通常時販売数量を1.0とした期待需要倍率です。高い倍率の領域ほど強い需要が続いていることを意味します。明るいridgeは高反応領域の輪郭、細い白線は代表商品のtrajectoryです。
左端に高い需要が集中し、その後どの程度の長さで尾を引くか、途中に第二のridgeが現れるかを見ることで、商品ごとのローンチ需要の違いを読み取れます。
可視化から読み取れること
今回のSynthetic Dataでは、発売初週の期待販売数量倍率は平均3.19倍でした。つまり、多くの商品で発売直後に通常時を上回る需要を設定しています。
初期の超過需要が半分まで低下する週の中央値は2週でした。ただし、この減衰速度は商品ごとに異なるため、wavefield上では短く消える波と長く残る波が混在しています。
また、発売後5週以降に明確な再燃が検出された商品は71.7%でした。こうした商品では、一度弱くなった波の後ろに第二の高反応領域が現れます。
この構造をどう解釈するか
今回のデータでは、商品ごとに発売ピーク、減衰率、再燃振幅、再燃時期をGround Truthとして設定しています。
Sharp Fadeでは高い一次ピークの後に需要が急速に低下します。Slow Burnでは初期ピークはやや穏やかですが、需要の尾が長く残ります。Reboundでは一次波の後に第二波が現れ、Twin Waveでは比較的早い段階で二つ目の山が形成されます。
したがって、図の中に見える波形の違いは、可視化上の装飾ではなく、Synthetic Dataに埋め込んだ需要拡散構造を反映しています。
可視化の仕組み
各商品の需要は、発売直後のpulse、指数的に減衰するtail、必要に応じて後から現れるrebound pulseの3要素から生成しています。
これらを商品ごとに異なるparameterで設定し、発売後0週から26週までの期待販売数量倍率を計算しました。商品はarchetype、減衰率、再燃タイミングの順で並べています。
その結果を二次元fieldへ変換し、需要倍率を色の連続変化として表現しています。高反応帯を等高線状のridgeで補助することで、「どこまで波が続くか」「第二波がどこで現れるか」を読みやすくしています。
なぜこの可視化方法を選んだのか
今回の目的は、発売直後の最大値だけではなく、その後の時間構造を比較することです。
個別の折れ線グラフでも商品単位の動きは確認できますが、商品数が増えると全体構造を把握しにくくなります。Wavefieldでは、時間変化を横方向の流れ、商品差を縦方向の違いとして同時に保持できます。
そのため、ピーク、減衰、再燃という複数の特徴を一つの視覚構造として見せることができます。
実データへの応用可能性
実データでは、新商品発売後のPOS、EC注文、アプリ利用、新機能の利用回数、コンテンツ閲覧数などに応用できる可能性があります。
たとえば、発売直後だけ強い商品と、長期間需要が残る商品を比較したり、キャンペーンや口コミ拡散の後に第二波が現れる商品を探索したりする用途が考えられます。
ただし、第二波が見えたとしても、その原因が広告、口コミ、再入荷、季節要因などのどれであるかは、この可視化だけでは判断できません。
データと分析方法
今回はSynthetic Dataを使用しています。商品数は60、期間は発売後0週から26週までで、合計観測数は1620です。乱数シードは260926です。
商品ごとにpeak multiplier、decay rate、rebound amplitude、rebound timing、baseline quantityを設定しました。需要倍率はlaunch pulse、exponential decay tail、rebound pulseの和として生成しています。
このVisualization Studyの限界
今回の需要波形は、あらかじめ設定したData Generating Processへ依存しています。実際の新商品需要が同じ4つのarchetypeへ分類できるとは限りません。
また、商品を並べる順序もarchetypeとparameterを利用しているため、未知データへ適用する場合は、クラスタリングや類似度に基づくorderingが必要になります。
さらに、実データでは在庫、販促、季節、価格変更、広告、店舗展開、競合商品など多くの要因が需要へ影響します。このStudyは需要波形の可視化であり、各要因の因果効果を実証するものではありません。
まとめ
今回は、新商品発売後の需要を単一のピーク値ではなく、時間とともに広がり、減衰し、ときに再燃する「波」として可視化しました。
Launch diffusion wavefieldを使うことで、ピーク高さ、減衰速度、再燃タイミングを個別の折れ線へ分解せず、商品群全体の構造として見ることができます。
この見方は、実データでも「どの商品が短命な需要波を持つのか」「どの商品に第二波が現れるのか」といったパターン探索の入口として利用できます。

